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「古い家のない町は、思い出のない人と同じである」

『古い家のない町は、思い出の無い人間と同じである』これは、日本画家 東山魁夷画伯の言葉です。新潟市の北方文化博物館伊藤家の廊下に飾られていました。人が暮らす町にはそれぞれ歴史と文化そして思い出が積み重なってきていると思います。知らない町に行ってもどこか懐かしく感じる街並みがあったりします。自分の住む町がそんな町だったらいいなと考えたりします。私達の事務所『おおみやスタジオ』があるさいたま市見沼区には見沼田圃(みぬまたんぼ)という自然環境・文化遺産があります。見沼田圃は縄文時代には入江でした。弥生時代に海面の低下によりたくさんの湿地や沼が生まれました。そして江戸初期の農業用水確保のための溜井(ためい)、江戸中期に新田開発され田圃となり、今では水田や畑そして自然公園などとして利用されています。斜面林や屋敷林などの雑木林や芝川や2本の用水路、自然公園など自然環境にとても恵まれています。せっかく芝川の見える場所をモデルハウスの建築地に選んだからには、できるだけ周囲に溶け込み数十年経っても不自然ではない建物を作ることを目指しました。実際の評価は時間が経ってみないとわかりませんが、四季を感じさせてくれる木々に見え隠れする外観は新築時から何年か経過しているようでした。そして来てくださった方たちから「昔からここにあるみたい」と言わた時はとてもうれしく感じました。一般的に家を建てようと思った場合にどのようなことを考えるでしょうか。利便性を念頭に置いた立地、間取り・大きさ、価格、日当たりや風通し、断熱や耐震などの性能、キッチンやお風呂などの設備、使用する建材、そしてデザインなどでしょう。もちろんそのようなこともとても大切です。一方、住宅を考える上で歴史的、文化的背景、自然環境や周囲の植生、自然条件を考慮に入れることは少ないのではないでしょうか。一般的に家というとても個人的な物にそんなことを考える事はしないでしょう。しかし外観や植栽などはそのまま町並みに影響します。そのようなことを考えた上でデザイン、建材、間取りをつなげ重ねた方がより周囲に溶け込み自然な家が出来上がると思います。そして道路から見ても家の中から見てもこの『つながっていること』がとても大切なことだと思います。見た目のつながり、使い勝手のつながり、そして環境的なつながり。屋根などのデザインや使用する建材、植栽計画などが大きくその家の性格を左右します。街並みに合う家、街並みになる家、100年経って今よりもっとステキになっていればいいな。

 

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